上大岡から越してきて、直ぐに気に入った
葉山にあるイタリアンのN。頻繁に通うように
なって2年になる。最近、ここの客層が横須賀
のレストランの客層と明らかに違う何かを
感じるようになった。
一般的に客層と言えば、年齢層とか男女比とか
職業とかを指すことが多い。でも、私が
感じているのはそんなことではない。
その店の客が醸し出している空気が違うのだ。
葉山だから金持ちが多いとか言うことではなく、
客の多くが穏やかで、妙に自信に溢れ、
教養がありそうなのだ。
何気なく聞こえてくる話題は、旅行なら
ハワイでなくヨーロッパ。歴史なら江戸時代
でなく明治時代。音楽ならヒップホップでなく
クラシック。
男はどこまでも控えめで、
「あんな人になれたらなー」と思わず憧れて
しまう紳士なのだ。そう、あの白洲次郎のような。
そして、女性も声が穏やかで、主人を
立てるような謙虚さを備え、美人でなくとも
得も言われぬ魅力に溢れている。そして、
車は小型のヨーロッパ車が多い。
思えば、我がふるさと横須賀にはそんな感じの
客が通うレストランは少ない。高級店でも、
成金的な人が多い。声が大きく、傍若無人で、
車はレクサス。
これが、娘の住む高輪だとまたちょっと違う。
一部上場の会社オーナーとかITバブルの
超成金などが闊歩しているから、我々のような
並みの人間には近寄れない雰囲気を醸し
出している客層の店が多い。連れて来る子供は
圧倒的にペンマークの校章だ。
表参道のうかい亭はそんな高輪族のたまり場だ。
同じうかいグループの中でも、客単価が違う。
一人2万円を切る横浜うかい亭に対して、
表参道うかい亭は一人3万円以上必要だ。
客層に合わせてメニューを変えている。
あのミシュランの三ツ星を10年以上取り
続けている「石川」にも高輪族が多い。
一人4万は覚悟しないと入れない。そして、
黒い塀の外にはお迎えの社用車が列をなしている。
ことほど左様に、レストランの客層って
奥が深くて、食べるのも楽しみだが、
その店ごとのお客観察がたまらなく面白い。