訊けばいいのに

マンション本体のコンクリートの耐用年数が
理論的には100年を超えたからといっても、
そこに使われた水道管や排水管は百年もたない。

ある日突然、漏水で大騒ぎするマンションが多い。
それはまるで、一見健康そうな人がある日突然
血管の詰まりで倒れるのとよく似ている。

給排水管は50年くらいで交換するのが     
多くのマンションの対応のようだ。
ところが、私が最近理事を務めるようになった        
東戸塚の150戸のマンションでは、
なんと28年で水道管を交換してしまった。

たった1件の水漏れがあったという理由で。
補修でなく全部を交換した本当の理由は、    
管理会社から管理組合への巧みな誘惑。

管理会社の利益の2本柱は管理委託費と工事費。              
近年、管理組合からのこの管理委託費への      
値下げ圧力が 年々厳しくなっているので、
管理会社は工事からの利益を模索している。

彼らは管理組合の懐具合をよーく知っている。
だから、金に余裕のあるマンションへは      
甘い言葉で必要ない工事を仕掛けることもある。
「今のうちにやりましょう。資産価値も上がりますよ」
無知な理事長や理事はすぐにこの誘惑に乗る。
そして管理組合の大切な剰余金は雲散霧消する。

それが輪番制理事会マンションの宿命である。
実際、自分たちはその知識や経験がないという
意識の欠けた理事さんたちの管理組合が多く、
それゆえに、管理会社の御指導に従い、
ごっそりと積立金を使わされてしまうのだ。

結果、
マンション住民は根拠のない高い管理費を
能天気に支払い続けることになる。
ところが、悲しいことに、住民側にも
被害者意識は全然ないのが、
何とも平和な光景である。

マンションが大規模修繕を迎えているときなどは、
管理運営にはかなり専門的な知識が要求される。
だから、輪番制理事だけでの対処は無理なので、
輪番制理事と専門的知識を持った理事を入れた
複合的な管理システムを考えるべきなのだ。 
 
でなければ、私のような経験者を相談役につけ、
何時でも、『訊ける人』をそばに置いておくべきだ。
そうでないと、マンションは永久に良くならない。

「プロに訊く習慣のある人だけが成功する」
この成功法則は管理組合にも当てはまる。

Most people never ask.
That’s what separates the people
that can do things from the people
that just dream about them.

去年、友人と行った秋の円覚寺。
京都まで行く必要がないほど見事。

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