威嚇経営

30代の頃、寿命は50でいいと思っていた。
父も兄も50前に、この世を去った。
それが妙に羨ましかったから。

それが、いつの間にか古希を超えた。
余分に重ねた21年、予想外の連続だった。
死にたい苦労もしたが、いいこともあった。。
これならもう10年生きてもいいかな・・・・

30代半ば、立ち上げた会社は急成長していた。
急成長の上、かなりの黒字経営だった。
従業員数も予想以上に膨れ上がっていた。

でも、多くの若い社長がそうであるように、
何をどうすればいいか分からず、
次の朝を迎えるのが怖かった。
舵取り方法を教えてくれる人が欲しかった。

毎朝、訳もなく社員を怒鳴りつけたかった。
「お前なんか辞めてしまえ」という衝動が・・・
でも、会社の崩壊が怖くて、言えなかった。
そして、選んだ道は会社の売却だった。
もう二度と社長なんかやるまいと思った。

2年前、近くに凄い会社があるのを知った。
社長はフェラーリに乗り遊び呆けているのに、
会社は順風満帆に動いているというのだ。
この近くにある自宅は、プール付の超豪邸だと。
「そんな社長ならやりたい」と興味が湧いた。

調べたら、社長は怖い人らしい。
背けば、命も危うくなるほどの人らしい。
「威嚇経営」そのものを実践しているという。
何を隠そう、一度は憧れた経営手法だった。
そのためのコネクションも手に入れていた。

そんな折、その社長が癌になったという噂が。
威嚇には身体にかなりの負担がかかるという。
それが40代の発病の原因だったというのだ。

医者に聞いたら、
「怒ると血液は酸性になり、その悪い血液が
癌を誘発するんですよ」と。

あー、威嚇が出来ない性格でよかった。
それに、もうこの歳で、人を威嚇するのは辛い。
威嚇を使わず社長をやる手段として、
「ニコッと笑って、縁を切る」ことを覚えた。

お己の身体に悪い人の縁さえなくなれば、
仕事で怒ることもないし、説教する必要もない。
求めるべきは、嫌な縁を切る強さなのだ。
怒らず、威嚇もしないで、社長をやるには、
嫌な人から離れ、気の合う仲間とやるしかない。

馬が合うと言って寄ってくる仲間だけと集い、
その人たちの協力で利益をだしていく。
苦労して身につけたこの素晴らしいやり方。
それが出来るようになったから、
社長業も悪くない。

If you can cut an evil connection,
you will be able to live in peace and quiet.
I hope you can keep smiling.

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