不動産賃貸業者にとってリーシングは生命線。
街の不動産屋にテナントを付けてくださいとお願いして、
「まだ見つからないのかな」と待っているだけではない。
普通は、賃貸用物件を建てる前に既にテナントは決めておく。
しかし、不運にも途中でテナントが撤退したときなどは、
どうしても親しい不動産業者とタッグを組んで、
スピーディにテナント付けをしなければならない。
そんなときのために日頃から己のリーシングテクも磨いている。
お願いするだけではなく、自分でもテナント探しに動き回る。
実際、所有物件の半数近くは自分でテナントを見つけてきた。
そんなリーシングを特技として成長している会社もある。
土地を持つ地主を探し出しては賃貸用建物を建てさせ、
そこにテナントを入れて大儲けしているのが大和ハウス。
建てさせて儲け、リーシングして更に儲ける凄い会社だ。
複数の地主を説得し、そこに大規模商業施設を建て、
一挙にリーシングをして大儲けしているのが三菱地所や三井不動産。
誰もが知っているアウトレットパーク 横浜ベイサイドは三井不動産。
アウトレットの皮切りになった御殿場アウトレットパークは三菱地所。
あの有名な「森ビル」も基本的にはリーシングが中心業務。
変わったところでは、町田のグランベリーモールが東急電鉄。
世界のトヨタが横浜市港北区の師岡に開発したのが
220店舗の大ショッピングモール「トレッサ横浜」
こんな具合にリーシングを主体にした不動産業は一大ビジネスになり、
今ではもう建物貸付業などという軽い感じの仕事なんかではない。
街の開発から、大げさに言えば国の開発にまで及んでいる。
6年後を目標に東京で今世紀最大の開発が行われようとしている。
それが泉岳寺駅開発で、JRと京浜急行が中心になり、
都や国までをも巻き込む一大プロジェクトになっている。
私のような零細企業者もおこぼれを頂戴しようと
数年前からこの駅の近隣に土地を仕入れている。
ただ、基本的には私のような零細企業者は、
手持ち不動産を無駄なく回すために、
日頃はコツコツとリーシング活動をするしかない。
こんなとき、テナント付けを依頼する方法には二つある。
通常は専任媒介がいいのだが、この道を選んで失敗することもある。
熱心そうに見える業者でも結構ゆるい動きをしていたりするから。
かといって、あちこちに頼む一般媒介だと誠意をもって動いてくれない。
専任媒介と一般媒介の選択も実際にはかなり難しい判断なのだ。
そんな多くの苦労は抱えてはいるが、
いずれは、どこかで20店舗くらい入れる大きな開発もやってみたい。
「リーシング」ほどロマンチックな仕事はない。