フルコミッション

戸建てがマンションより価値があると考えている人が意外と多い。
これを「戸建て信仰」というが、マンション派を下に見るのは間違いだ。
信者は言う、「地震が起きても最後まで土地が残るのは戸建てだ」と。
しかし、同じ4千万なら、マンションの方が格段に便利な生活ができる。
だから、便利さを求めるマンション信仰派もかなりの数になる。
出来ることなら、その両方を持ってしまうというのはどうだろうか。
その価値観はともかく、この二つには売り方に大きな違いがある。
マンションは大企業が広域に宣伝し、一気に売り出す。
一方、戸建ては中小の不動産屋が2〜3棟くらいで売り出すことが多い。
それも地域を絞ってチラシを撒いて売っていく。
最近お気に入りのK君は横浜北部で4千万前後の戸建てを扱い、
教え子のY君は横須賀で2千万を少し超える物件を扱っている。
二人とも社員が二人の小さな不動産屋のフルコミッションの人間だ。
フルコミッションの人間とは固定給がゼロで、
給与は儲けを会社と折半する歩合給社員のこと。
4千万の物件を売ると、仲介手数料は4千万×3%+6万円で126万円だ。
だから広告費などの経費を30%くらい引いても手取りが80万にはなる。
仲介手数料は買主と売主から貰えるのが通例だが、
売主はプロだから規定どおり3%+6万円とはいかないこともあるらしい。
だからいつもこの計算式通りうまくはいかないが、
それが基本であることに違いはない。
この理屈では、横須賀で働くY君の給与はK君のだいたい半分になる。
そう、扱う物件の価格がほぼ半分だから。
この違いが東京の不動産成功者が派手な車に乗れる最大の理由だ。
今後も、根強い戸建て信仰の人が減るとは思えないので
K君もY君もいずれはお金を貯めて、独立するのだろう。
能力のあるやり手の人間にはフルコミッションの世界が向いている。
でも、K君やY君を見ていると、
営業の世界で生きるって本当に大変だと思うことも多い。
二人の健康と成功を心から祈っている。

世界遺産「仁和寺」の御室桜(左手)はソメイヨシノの後から見頃になる。
水と桜、城と桜、寺と桜、富士と桜、宴と桜、そして夜桜。
今年も悔いが残らないように桜を求めて走り回った。

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